「AIでアプリが作れる」と聞いても、プログラムを書けない人には他人事に聞こえると思います。僕もそうでした。
僕は岐阜で小さな飲食業を営む一人社長です。店のほかに、イベントへの出店もしています。エンジニアではありません。それでも2026年に入ってから、AI(Claude Code というツール)に日本語で頼むだけで、自分の仕事で毎日使う道具を10個以上作りました。シフト表、請求書、給料計算、売上日報、イベント出店の募集チェック、出店の利益計算。全部、今も現場で動いています。
この記事では、その全体像を書きます。何を作ったか、何が大変だったか、いくらかかったか。1つ1つの作り方は別の記事で詳しく書くので、まずは「自分にもできそうか」を判断する材料にしてください。
結論:プログラムが書けなくても、自分専用の道具は作れる
先に結論です。
- 作れます。 ただし「アプリを作る」というより「できる部下に、やってほしい仕事を日本語で説明する」感覚です。
- 向いているのは、自分しか困っていない面倒な作業です。市販のアプリは「みんなの平均」に合わせて作られているので、小さな会社の細かい事情には合いません。
- 大変なのはプログラムではなく、「自分が何に困っているか」を言葉にすることでした。
作ったもの一覧(2026年11月時点)
| 道具 | 何をするか | 使う人 | 今の状態 |
|---|---|---|---|
| シフト表アプリ | スタッフの出勤表を作り、スマホで画像やPDFにして配る | 僕とスタッフ | 毎月使っている |
| イベント募集の自動チェック | 出店したいイベントの主催者ページを毎朝見に行き、新しい募集があればメールで知らせる | 僕 | 毎日2回自動で動く |
| 出店の利益計算 | 出店料・移動・材料費を入れて、その出店で手元にいくら残るかを出す | 僕 | 出店ごとに使う |
| 納品書・請求書アプリ | 納品書を打ち込むと、月末の請求書までできる | 僕 | 2026年11月に使い始め |
| 給料計算 | タイムカードの写真を撮るだけで、時給計算と請求書ができる | 僕 | 2026年10月分から |
| 売上日報の自動入力 | レジのレシート写真から、毎晩の売上と客数を日報に入れる | 僕 | 毎晩決まった時刻に自動で動く |
| 高配当株のチェック | 投資本の8項目チェックを、自分の保有株に毎日かける | 僕(個人) | 毎日自動更新 |
| ブログとXの運用 | 記事の下書き・公開・Xの予約投稿をAIに任せる | 僕 | 週1回まとめて |
| AIの「記憶」の2台共有 | MacとWindowsで同じAIの記憶を使う仕組み | 僕 | 2026年10月から |

どうやって作っているのか(しくみを一言で)
使っているのは Claude Code という、Anthropic 社のAIです。パソコンの中で動き、日本語でこう頼みます。
「スタッフのシフト表を作るアプリがほしい。月ごとに表があって、スマホで見られて、画像にしてメッセージで送れるようにして」
AIが自分でプログラムを書き、動かし、エラーが出れば自分で直します。僕がやるのは「ここが使いにくい」「この色は見にくい」と、できたものを見て感想を言うことだけです。
作ったアプリは、インターネット上の無料の置き場(Cloudflare というサービス)に置いて、スマホからも使っています。社内だけの道具には鍵(メールアドレスで本人確認する仕組み)をかけて、外の人は開けないようにしています。この「鍵」の話は、AIで道具を作る人が最初に知るべきことなので、別記事で詳しく書きます。
大変だったこと(正直に)
1. 自分の仕事を説明できなかった
最初のシフト表アプリは、何度も作り直しました。原因はAIではなく、僕が「シフト表の何が面倒なのか」を説明できていなかったことです。紙のシフト表の写真を見せ、「ここに○を書くのが面倒」「月の途中で変わる」と具体的に言えるようになってから、一気に進みました。
2. 一度、データが外から見える状態になっていた
初期に作った別のシフト表で、使っていた保存サービスの設定が甘く、「外部から読める状態」という警告が来ました。すぐに止めて作り直しましたが、プログラムを読めない人がAIで道具を作る一番のリスクはここです。今は「鍵がかかっているか」を公開前に必ず確認する決まりにしています。
3. 土台の更新で、公開が止まった
使っている部品(Next.js というもの)のサポートが終わり、ある日突然アプリの更新ができなくなりました。AIに「新しい版に上げて」と頼んで解決しましたが、「作ったら終わり」ではなく、年に数回は手入れが要ると分かりました。
4. 自動で動く仕組みは、パソコンが寝ていると動かない
毎朝・毎晩に自動で動く仕組みは、Macがスリープしていると動きません。「次に起きた時に動く」ようにしてありますが、最初は「動いていない!」と慌てました。
いくらかかったか
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| AI(Claude)の利用料 | 月額の定額プラン(金額は記事執筆時点の公式ページを確認) |
| アプリの置き場(Cloudflare) | 無料の範囲で収まっている |
| ドメイン・サーバー | ブログ用に元から契約していたものを流用 |
| 外注費・エンジニア費 | 0円 |
正直に言うと、一番のコストはAI利用料ではなく、僕の「夜の時間」です。最初の数か月は、夜はほぼずっとAIと話していました。ただ、シフト表・請求書・給料計算・日報の手作業が月に合計で何時間も減ったので、半年で元は取れたと感じています(記録を取っているものは、個別の記事で数字を出します)。
これから作る人へ:最初の1個の選び方
- 毎週やっている手作業で、いちばん嫌なものを1つ選ぶ。大きなものはだめ。「タイムカードの集計」くらいの大きさがちょうどいい。
- 今のやり方(紙・Excel・Numbers)の写真を撮る。 AIに見せると説明が10倍楽になる。
- 最初はスマホで見られなくていい。 自分のパソコンの中だけで動く版を作って、1か月使ってから公開を考える。
- 人の情報(名前・給料・売上)が入る道具は、公開する前に鍵を確認する。 自信がなければ公開しない。
まとめ
- プログラムが書けなくても、自分専用の仕事道具はAIで作れる。
- 向いているのは「自分しか困っていない、毎週の面倒な作業」。
- 大変なのは、プログラムではなく「何に困っているか」を言葉にすること。
- リスクは「データの鍵」と「土台の更新」。ここだけは慎重に。
次の記事では、僕が最初の1週間にやったこと(Claude Code の入れ方と、最初の頼み方)を書いています。→ Claude Codeの始め方。プログラムが書けない僕が最初の1週間でやったこと